石井疲労

疲れすぎた。僕は客に食事を運ぶ度に「冗談じゃない!眠いのになんで食いにくるんだ!」とエゴの固まりみたいなことを考えながら仕事していた。
客はまるでアフリカのどっかの草原の群れの動物のように襲いかかってきた。狩っても狩っても動物は襲ってくる。郵便局で大幅に減らされている僕の体力が完膚無きまでに削ぎ落とされた。僕の限界点はあっさりしたものだった。虚ろになっていたら久々に会ったPさんという名の女神が微笑みながら声を掛けてきた。
「しっかり頑張れ○○(←僕の戸籍上のラストネーム)、明日もあるんだから頑張ろうね」。ああ、どうやら僕のどうしようもなく疲弊しきった様は女神から見ても明白だったようだ。普段、孤独にやってる僕は女神からこんな風に応援されただけでも飛び上がるほど嬉しくてしかたがなかった。よほど情に飢えてるわけだ。