なまぬるい冒険

いつも同じような飯を食うのも脳を刺激しないので、一回も行ったことの無い店で飯を食おうと思い立ったのが今日の昼だ。
とりあえず情報誌を読んでみた。引きつった笑顔をしたキャバクラ嬢なんかが載っているようなグルメやらなんやらサービス関係の店の情報が載っている情報誌を読んで、近場のラーメン屋が載っていたのでそこに行くことにした。
土曜の昼の十二時半、飲食店が書き入れ時の時間帯に行ってみた。まず店の風貌に驚いた。建物が黒尽くめで重々しい雰囲気が漂い、入ったら大蛇でも飛び出すんじゃないのだろうか、などと考えてしまうぐらい入るのに抵抗を要するような店構えであった。
意を決して入ってみた。
「うわっ!」
素っ頓狂な声が聞こえてきた。おそらく店員の声だろう。と思って周りを見渡すと薄暗い店内には客が一人もいない。腰が抜けそうだった。
もしかして営業してないのか?と思ったら普通に店員が水を持ってきた。「うわっ!」と店員が驚いたのは客が珍しい存在だったからであろう。土曜の昼十二時半なのに深夜2時みたいな気分だった。
ラーメン(600円)を頼んだらすぐに出てきた。味は…。正直言うとちょっと高いカップラーメンみたいなありきたりな味で脳も大して刺激されなかった。別の意味で脳は刺激されたけどもう二度と行かない。