この日

この日も相変わらず朝七時過ぎに家を出て鬱工場へ行った。発狂の波がやってきてしんどくて逃げ出しそうな状態が永延と続いた。午前中は仕事も指導も全く無い状態。俺は誰にも相手にされずに工場をさ迷っていた。この状況で狂わない奴は狂ってるという状態だった。
弁当は半分も食わなかった。ストレスで食欲が無い状態である。
午後は時計を一切見ないと決めて仕事に取り掛かったが、時計を見ないほうが時間が経つのが遅く感じるということを体験した。一時間くらい感覚が遅かった。時計は見たほうがいい。休憩室では大量の副流煙を浴びた。この一週間で俺の肺は副流煙と綿ぼこりでおかしくなってる。午後は機械の動かし方を結構、学んだのだが、俺には全くやる気がなかった。
終わった。ロッカーの整理を密かにやってから工場を後にした。工場ではもう働きたくない。五日で辞める俺は根性なしだと思うが、別に根性がある奴になりたいとは思ってないからこれでいい。
その帰りに飲み会に行った。もう辞めたにもかかわらず、なぜか前のバイトの連中から飲み会に誘われていたのである。実は数日前に参加するかってメールがPさんから来ていた。俺はそのとき、工場で鬱々と仕事をしていたので、嬉しくて即座に参加するとメールを返したのだ。人との会話に飢えていた俺はおめおめと飲み会に参加した。
懐かしい人間たちに会えて最初は嬉しかった。しかし、相変わらず飲み会の空気は苦手で、話すのが苦手な俺にはトークの限界がすぐに来た。話のネタに困って仕方なく寝たりしてたが空気を少しは読まないといけないと思い、話したくはなかったのだが、今俺が働いていた内容を赤裸々に人間たちにぺらぺらと話してみた。これが間違いだった。
すると当然の如く、「そんなんじゃどこも勤まらねえよ、根性なし」とか店長に見下されるわけで、学生とか主婦とか社員も俺に説教めいたものをたれてきたため、俺は自己否定感を募らせるあまり、ストレスが体中をうごめいて苦しくなった。店長は続けて「お前より年下の社員がこれだけやってるのにお前と来たら…」とかいろいろと転職経験が豊富な人間なだけにいろいろと社会でやってくことについてを説教してきた。体育会系の学生の野郎は「仕事は続けなきゃだめっすよ」とか軽く突き刺さるような言葉を軽く投げかてきやがって、年下社員は「駄目だと思うから駄目なんだ!」とかパッションに言ってた。まあ中途半端に慰めるような台詞を言われるより、このくらい突き放すくらいの台詞を言われた方がいいのだろうけどそんなことは理解する気にもなれず、ただ俺は悔しく、悲しくなりながら人間の口から飛び出す言葉を聞いていた。フリーターが俺以外に一人もいない、バイトは学生と主婦だけの飲食店で働いてた俺を褒めてやりたいと今更思えてきた。
日々、腹を壊しながら高校の授業を過し、頭が悪くて短大行って、編入試験は頭が悪いから落ちて今年からフリーターやっててとうとう他人から本気でどうしようもない人間だという目で見られるようになっちまったような気がする。何だか非常に虚しくなった。
飲み会には主婦の子供も来ていて純粋に「キャッキャッ」と無邪気にはしゃいでおり、あまりにも今の俺の状態と対称的すぎて何か泣けてきた。俺と同い年くらいの学生とか社員は普通に子供と上手に遊べていたけど俺は子供の扱い方が分からずアタフタとしていた。大きな人間も小さな人間も相手にするのは苦手だ。
飲み会だったが車で来ていたために酒を飲まなかったにもかかわらず、俺は工場からの蓄積ストレスプラス、飲み会の説教で勝手に自己否定感を募らせたため、とうとうゲロを吐くなどとした。便所と仲良くやっていた。
半分死んでいたそんな状態で飲み会後に糞学生共のアッシー君にされてしまって娯楽施設に行った。俺は体調が悪いから「娯楽はせずに車で寝る」と言って、学生共が遊んでる二時間くらい駐車場の車の中で待機するというあまりにも無駄でどうしようもない時間を過し、その後、学生らを送り届けて家に帰った。俺の人生は糞すぎる毎日だ。どうしたものか。