音楽

自分だって、それは勿論音楽を聴きますが、しかし、CDなんて買うことは滅多に無いですし、流行の曲なぞまったく興味がありません。無理をしてまで、流行に乗ろうという気がないのです。(余談ですが、なぜ西欧風の格好、ノリをした日本人が西欧の言葉を使わず日本語で歌を歌うのかに未だに激しく疑問を抱いています)。
自分はまるで幼少の頃から音楽というものに興味が持てず、それは「歌う」という感覚が実に常軌を逸脱した狂気の沙汰なんだと思っていました。そりゃあ人間は言葉を発します。しかし、妙なメロディーに乗って声を出すと言うことは非常に不自然です。周囲の人間が歌に夢中だった時期、安室奈美恵はどう?GLAYも、倉木麻衣もいいよ、などと言って騒ぎますので自分は持ち前の道化心を発揮して、長渕剛がいい、とつぶやき、「へえ?変わっているね…」と唖然とも取れるセリフを発された記憶があります。(自分の世代で長渕剛はギャップがありました。ゆえに会話を終了させるために長渕剛を持ち込むという作戦でした。ちなみにその頃、長渕剛には全く興味がありませんでした)。
学校の音楽で歌のテストがあるときは自分はいつも肌寒い思いをしました。自分にとって「歌を歌え」という命令は発狂しろと言われているのと全く同義でした。
また、一人カラオケも生涯5回近くしていますが、時刻が経過すると電話が掛かってくるというシステムであることにまず恐怖し、常に時間を確認しています。また、自分は部屋の外からこの陰惨とした一人カラオケを眺められているのではないかと、終始、儀式のように外を確かめ、薄暗い一室で半ば自棄になりながら歌っているのです。それは傍から見れば部屋中にうごめいている霊を退散させるための祈祷のような歌い方をしております。