墓地散策



私は、某武士の墓地がなぜ、肝試しの名所になっているのかという疑問を解決するため、セーフティな午前中の時間帯に出向いてみた。

淡泊な看板。吹けば飛ぶような確率だがクマーに出くわす可能性も無くはない。それこそシーズンベストの走りで追いかけられたら目も当てられない。小心が高じて狂気の三歩手前の感情が沸き立ってくる。

傾斜のある坂を上れば誰もいない山道。けたたましいセミの鳴き声。

武士の墓の数メートル手前。あっけらかんとしていた。日中はクマーという現実的な恐怖心以外は感じられない、なんてことはないスポットであった。

山を下りつつ、景観のよろしい場所へ行ってみると既に赤く染まった植物が。

市内の全貌を目の当たりにできる場所を監視するように見つめていた。
ブロードバンドだの、光ファイバーだの、デジタル家電だので、
近未来的生活に浮かれていた私は、改めて、自然の現状を噛み締めていた。