はくち

日記の舞台は21世紀初頭の日本です。
大学四年の金輪際は夏休みに廃人と化し、
健康保険のいざこざがあって精神病院もいけないので四苦八苦していました。
当時の金輪際は若さゆえにマスコミに煽動されやすく、
独りでいることが恥ずかしいことではないか、
と気兼ねなく本気でそう信じていました。
日記上でも孤独を脱したいことを書き込む様が見て取れます。
この頃はまだ疑う事を知らなかった。浪漫に溢れた将来、荒々しい男らしい未来の友達。孤独はこの3年間だけ。就職すれば息もつかぬうちにすぐ悦楽を味わえる。青年期の悩みは大人になれば微塵も残らないだろう。私はこんな風に学生から社会人までの時分を単純に思い描いていた。社会人になればいいことがある、と。