この日のまとめ

九月最後の昼下がり。学校近くで初めて入る店でランチ。昔の流行ってない喫茶店って感じが醸し出されている。メニューにはたくさん載っているが「今日はこれとこれとこれしか作ってません」とかおっさん店主に限定戦法で咎められる。脳内協議の結果、とんかつ定食。
「お客さん、うちはセルフサービス(手前のことは手前でやれ)だから水はあそこ、定食はできたら呼びます!」とおっさん声でかいなあ。
ほこりっぽく、乱雑に漫画が棚で寝ており、周りは常連と思しき年寄りだけ。年寄りが永延と話してるだけだ。皿がくたびれていたりしてどうもダメだ。商店街の一角で静かに佇むおっさんの店。
飯を食い、久しぶりに学校へ行く。ギャルっぽい女学生が並んで憎らしいくらい仲よさそうに喋っていたり、ジャージを着た体育部隊がぞろぞろ歩いていたり、軽音楽サークルの楽器音と「ボぇー!!」という声音が聴こえてくる。掲示板を眺めていたら、男学生が固まって履修登録についてああでもないこうでもないと適当な意思表示をしていたり、、
自分には友達がいない。


ゼミはどうにも腑抜けのようで、やる気がでなかった。講師もやる気がなさそうで15分前に終わった。ジョージ。ジョージの講義には自分を含めて三人が出席した。ほかの二人の男は前期出てなかった知らない人間だった。三人、席の距離がかなり離れていたり、どうもこの講義は負のオーラが全快である。講義が終わり、自分以外の二人の学生が帰った後、ジョージに「金輪際くん、今日暇だったら飲もうよ」と夕暮れ時に飲みに誘われた。


ジョージは毎日のように飲み歩いている男である。スーツ姿だと難儀するからって着替えに戻っちゃったのでとりあえず自分一人で店に行った。小さな店でまだ午後五時を回ったところで誰もいない。待ち合わせまで30分もある。長い。ご無礼ながら勝手に中ジョッキを頼み、飲んだ。
その後、ジョージがやってきたのでサシ飲み。わいわいと『今日の講義にやってきた二人』、『負のオーラについて』、『出会い系はどうしようもない』、『ジョージ史』などの話題を話しこむ。下ネタ多目。肉をいっぱい食べ、ドリンク中心に飲んでいたのだが2時間足らずで吐きそうになる。自分の胃の弱さには参る。ジュースだけでも酔う自信がある。思い起こせば焼きニンニクはきつかった。
店を出る。なぜか店の便所を使わずにジョージ(慶大法学部OB)が立ちションしだした。続いてスナック。人生初スナック。はぐれ刑事を思い出す。なんというかおばはんが語りかけてくるからああそうですね、いやそうではないですなどと話す。ジョージが勝手に俺を淫乱キャラに仕立てるので難儀。そのうちスナック備え付けのカラオケでわけのわからん歌を歌わされたり自分で歌うが全く歌ってる感覚がなかった。発生とともに下呂ってしまいそうである。
そのうちツギオ(過去日記参照)を呼ぼうということになったが、自分は吐きそうになったので椅子の上で寝る構えをしていた。ツギオ(夜間学生)がやってきた。ツギオは好きな女性が同じ夜間にいるようで、嬉々として「女性に手紙を書こうかなっ♪」ってときめいてらした。


自分はツギオに対し、凄惨なほどの敗北感を感じました。自分は素人女性からは物を買う経験だけしかなく、特定の人を告白したいほど好きになったことは一度もないのです。自分は大いにトイレに行き続けました。これは単に酔っているからトイレに行ったのではありません。ツギオのような純粋恋愛希望者が自分のような無気力な退廃者と同じ空間に属してはいけないのではないかという強迫観念が頭を覆い、徐々に体調が悪化していきました。精神の均整を整えるためにトイレに駆け込んでいたのです。

スナックの中年女性とジョージとツギオが嬉々と会話を続ける中、自分は帰ることを告げ、店を出ました。
人の幸福が自分の体調を壊すとは物悲しいものです。
その後、荒い運転のバスに乗り、バスを降りてからは別記に記したとおり、ふらふらと1時間以上散歩をして家路に着きました。