後ろ向きの日記

ギアオイルで塗れた部品を洗うとき、灯油を使用する。部品の一つ一つに灯油を注ぎ、汚れを落とし、部品を蘇らせる。
灯油の臭いを嗅ぐと、まだオトナになる前、実家のこたつでくつろいでいるときを思い出す。年の瀬にこたつとストーブに囲まれ、期末試験がなぜだかいつも「FNS歌謡祭」の時期と被り、ああ今年も全部は観れないのかと狼狽しながらひと時の間、くつろぎ、また机に戻る。
この半年間、いつも後悔している。やってはいけない思考だというのに、内定を貰っていたもう一つの会社へ入っていれば良かったという後悔。せめて今勤めている会社だけしか内定が出ていなかったならば、諦めもついていたかもしれない。
もう一つの会社に行っていれば、少なくともこうしてオイルに塗れ、泥に塗れ、わけも分からない機械を弄る毎日が続くことは無かったはずだ。そう思うたびに気持ちが萎れる。こんな日が、もう半年も続いている。まるで腐っていない日がない。

あらゆるアルバイトを経験したが、どんな仕事でも必ず何かを我慢しなければならないことは理解している。給料、やりがい、将来性、労働時間。重要なのはこれらにストレスを感じるか否かだ。現在の仕事はやりがいを感じず、年をとっても変わらない仕事、そして過労。まるでいいとこが見当たらない。ストレス漬けである。胃腸に不具合が生じ続けていた高校時代と何ら変わらない。いや、高校は三年で終えられたが、社会人はこれから永延続く。男、今年で24歳、職歴半年、地方私大卒、際立った資格なし。愚にもつかない。まるで出口がない、足抜けができないこの状況。ラーメン店のバイトで日ごとにランダムでトイレ清掃者が一人選ばれることがあったが、あれに選ばれたときのどんよりとした感情が永延と続いているようだ。過去の自分に気狂いがいると、今を喪失することが多い。いや、今が気狂いなのか。
嗚呼、それにしてもオトナになる前の冬のテスト勉強も無意味だったのだろうかと思うと、大海原に向かって余所行きの声で無性に叫びたくなる。後悔は魔物である。後悔はいつでもできるからやるもんじゃない、などと言っても何度も蘇ってくる。こんな気持ちを蘇生させて蘇生させて一体何になるのか。まるで解せない。
自分が蘇りたいんだろう。