冬、眠い

一言、やる気が出ないのである。
何故冬に動かなければならないのか、甚だ疑問である。
彼方の星からやって来た地球探査隊の一人とでも無理矢理こじつけようか。
半端な時期だが、今週から新しい部署で働くことになった。
仕事のことは一行程度で充分だ。振り返る時間すらおぞましい。
凡人を天才と奉って慕うことの哀しさ。凡人のままの哀しさ。
見よ、充実してそうな学生が厚着しながら散歩をしている。何とも思わないのである。生まれて、死ぬのである。
例えば買い物帰りに長ネギを盗まれたとする。大抵の人間は盗人に憤怒するのであるが、今の私は怒れないのである。何も感じないのである。少なくとも私は悪くない、盗人が悪い。だから何も感じないのである。既に善悪がハッキリした時点で、闘いをする意義も感じられないのである。これはやる気がない生活のごく一部である。どうしたことか、これから老いぼれるまで社会人をし続けなければ野垂れてしまうのだ。私は考えた。いや、何も考えなかった。