なら旅二日目


冬の朝は行き過ぎた爽やかさという感じで寒々しい。奈良県奈良市は今年、平城遷都1300年ということでにわかに活気付こうとしている。「遷都」という地名でも名物でもない単語から生まれた「せんとくん」というキャラクター。TKOの木下氏に似ていることもあっていよいよ前衛的なキャラクターである。


せんとくん」はさておき奈良といえば古株である鹿が何といっても有名である。小鹿や大人の鹿があらゆる所に散らばっている。至る所に鹿せんべいなるものが販売されており、鹿は観光客が持ってくるせんべいをバリバリと食べる。
鹿ばかりの道を歩くのは楽しい。普段、職場などでは気まずい沈黙の中のストレスを感じている(人と接すると恐ろしい沈黙が現れることを恐れ、自分をいっそうくだらなくする性癖)が、この日は全く無く、四六時中歩き続けて心地良い疲労感を感じて、爽快な沈黙、ふとした会話という自分自身自然な状態でいられたのです。道化を演じずに自分を隠さずに見せられる人がいるということはとても大切だと感じる今日この頃でございます。






あとがき

胸にこみ上げてくるのは、足をつまずきそうになったりするといつも腕をかけてくれたひろっぺです。優しいな。
同年代の女性と休日にのんびり二人で歩くなんてこともあるのだから、世の中生きてあるものだ。立場ははっきりせずあやふやであるけれども、独りではないこと、ただそれを実感しさえすれば充分なんだ。