疲労と酷熱の連鎖

この日、午前中は散居村の続くN市方面の各機械に貼り付けた盆期間対応の張り紙を外した。
午後は狸氏と共同作業。かつての商都であるT市にある機械の部品交換。
この部品交換をするのが狸氏、私は初めてであり、困難を極めた。
仮に「A≫B≫C」という風に作業レベルがあるとする(Cが細かな作業、Bが複数のCを組み立てることで成り立つ作業、Aが複数のBを組み立てることで成り立つ作業)。
まず狸氏と分かれて互いにCをするのだが、Cをいちいち失敗してしまう。外し方、取り付け方に難儀。私は部品を組み立てる認識能力みたいなものが欠如している。空間認識能力がない。
なんとか狸氏の助けを借りてCを終え、共同でBに取り掛かってみたら失敗してやり直す。再度、狸氏とともにBに取り掛かって終えたと思って試動してみたらどうも機械の様子がおかしい。またCからやり直す。
作業開始から約3時間半後、Aが終わったと思い、機械を動かす。しかしユーザーが使用するとどうも調子がおかしい。グイド氏の電話サポートによるとCが出来ていなかったようである。結局、グイド氏に後日丸投げすることにして午後5時半に解散。
わけが分からんがともかく作業工程の一歩目から過ちを歩んでいたということだ。午後の作業は34℃を超える中、蒸し暑い機械室内で何も得られず徒労の循環を味わうだけであった。
持参した凍らしたペットボトル2本は午後2時には無くなり、水も飲まずに作業に集中する狸氏に合わせていたら体が枯渇し、汗だくで目眩でふらふらになった。近くに自販機はない。午後4時頃にへばるように軽トラで自販機に走り、500mlのアクエリアスを2本を買い、飲むというより吸うように摂取。肉体労働はきつい。しかしそれも知的でないと務まらない。とりあえず体を鍛えなければならない。
解散後は意識レベルが低い中、40キロを走って焼け付くような夕日が沈む頃に帰社し、部署内の人間がいない中、いそいそとやってきた飼料業者の対応をし、飼料運びを手伝い、汗だく。ようやく帰る。


術がなく、ただ傷付く。すると誰かが術を教えてくれた。どうやら焦っていたようだ。投げ出したい感情を封じ、汗にまみれてみる。皆となんとかやっていけるのか? 間違って生きていないか?卑屈に生きていないか?
苦痛を尊敬しなくてはならない生き方に戸惑っているんだ。