ダメ人間解析 やる気の無い男

夢も見ずに惰性で戦い続ける男。流した汗が何に報われるのかは分からない。サイパン島やフィリピン島で戦った日本軍歩兵、就職氷河期世代の人間の苦悩に比べれば目くそ、鼻くそ並みの苦悩だがそれでも意味の持てない日々に疑問を持たざるを得ない。
地方の無名私立大学。友人はいない。自分以外の学生は全て敵と見なしている。大学の構内のチャラチャラ感を目の当たりにするあまり、学生だけの空間の気だるさを実感する。しかし、目指すは新卒採用。自分が正社員で活躍する日をなんとなく夢見ている。
必須科目を取るために一年ばかりが受けている講義を受ける。「編入してよかったのだろうか」と思うこともある。そんな苦悩に満ちた日々が続く。7月末からの定期試験ではシビアな結果が求められてくる。
栄光の新卒採用。そうなれるのはもちろん卒業できればのこと。その卒業への道を、今は迷いながら歩き始めたばかりだ。