迷走記

その男は色情への探究心で道をあっちこっち迷って運転していた。車の運転とはその人間の人格を表していると言っても過言ではない。


前回購入した人間とは違う18歳女性(売り子B)と交渉成立するも待ち合わせ場所が永延に分からずよなよな同じ道を五回以上行ったり来たり、コンビニで一人の粗悪そうな店員に道を尋ねても場所が分からない。かといって何人にも道を聞くのは気が引けるからあっさり店を出て結局適当に運転。悲しい習癖。方向音痴すぎて泣けてくる。トチ狂って急ブレーキ急カーブを連発。今回の迷走運転は自分の人生の縮図のような気がしてきた。カーナビという伴侶がいないのがこの迷走の原因だ。
売人からのメールは優しいもので地図を送って頂いたりしたが、地図を読むのに難があるため、見ても全くわからない。待ち合わせ時間から一時間たっても無理だったのであきらめてメールした。売買を郵送に切り替えて住所名前をすべて教えた。潔さ、俺に足りないのは潔さなのだ。自分のやりたいことを、やりゃいいんだよっていう気持ちがない。
郵送だと顔が見えないが、もうどうでもいい。メールが暖かい内容だっただけで十分寄付したくなる。犯罪をしているわけでもないので個人情報がどうのこうの言ってられないのであっさりと名前住所を売人に教えた。手渡しより三千円も割高にされてしまったのが釈然といかないといえばそうかもしれないが、これは授業料だ。今は失敗の連続をする時期なのだ。