スナック二回目

暗然としたゼミを終え、自分はジョージの講義に出席し、講義後、またしても飲みに行きました。陽気な中年の男と陰惨な青年の二人が焼き鳥屋で呑む。奇妙なものです。
鳥、鳥、鳥。何が美味しいのでしょうか。自分はゴムを食べている感覚に陥りました。うまくない。しかし、ジョージの手前、「うまい、すばらしい」とプラス的な言葉を連発。人が喜ぶことを言わなければ。嗚呼、嗚呼。
焼き鳥屋を後にし、次に古めかしいスナックに行きました。前に行ったところとは別の処で、やはりいかにも中年が行くところ(しかし、自分は若者向けの店よりこういった古めかしい店のほうが安心します)で中年女性が切り盛りしており、水割りと枝豆を嗜め、カラオケを半ば強引に歌わされることになりました。スナックの空気というのは妙に親和的で、他の客の中年男性も自分が歌っているときに拍手をしてくれ、最初私はあまり知らない歌を入れてしまって声が出ないでいると「わけぇーのにそんな声の出し方じゃダメだ!」と憤ってくれました。実にありがたい話です。中年と親和をもてるのはすばらしい。それにしてもジョージのコミュニケーション能力は異常で、初対面の中年と開始2分で意気投合、これができる人間なのです。
自分は中年の圧力を押しのけるため、エキセントリック少年ボウイを鬼のように歌い、盛り返しました。異様な空気になりましたがどんな力でもいい、ダメな奴と思われたら力でねじ伏せなければなりません。その後、中年男性が現れては演歌を歌い、手拍子。奇妙な空間でした。酒をほどほどほどにしたので自分の体調もよく、帰りは雨に打たれても陽気な様でした。人との縁。なんとすばらしいことでしょうか。自分の無力さ、なんとすばらしいことでしょうか。