発表考察

慌ててスーツに身を包んだ私は、品定めするような緊張感に包まれた教室の中で、ほとんど意識不明の状態で他者の発表を聴いていた。そうだ、自分の出番は午後2時前であり、朝6時に起きて9時前に学校に着いてから5時間もの間、永延と待ち草臥れていたのだ。発表を終えたものは圧倒的余裕の持ち主と変貌し、笑みを浮かべて冬休みの話などをしており、しかし、考えてみれば最後の発表をするとなると、まともに聴いている人間などどこにもいないのでは、と自分は何気に思い、だったら気楽なものだろうという気持ちでようやく1時45分ごろ順番が回ってきたのである。
私はスタートでつまづかないようにしたかったのだが、時計のストップウォッチを弄っていたら10秒くらい沈黙が続いてしまった。とにかく話をしだした。練習よりも結構はしょった。恐怖なことは声が詰まることである。あるフレーズが出てこないとテンポが崩れる。文章の入り口を潰されると、次の文章までもが忘却…!。料金所を封鎖されたら高速に入れないようなもの。流れが違和感で止まる。そこでカンペを見る。どういうわけか、それまでの発表でカンペを見るものが数人いたために、カンペというものが奨励こそされないものの、しぶしぶ認められていることを理解し、カンペを見て、なんとく違和感を退治…!そしてゴール。質疑応答…なぜかされず。審査のおっさんは可も無く不可もなくというコメントを残し足早に会場を去っていった。最後の発表だったからか周囲を見渡しても緊張感のない面持ちであった。
とにもかくにも圧倒的終了。圧倒的休息