枇杷っ子

真夏日の今日、暑さでいつも以上に体たらくに研修を進める。機械の常識的なことを全く理解してないために半ば呆れられながら指導を受ける。分かっていた、こんなことになるのは。敗北の態度で研修を構え、ためらいと共に今週も過ぎる。
さて、メール友達というか、メールだけの関係で相手の顔すらも知らない同世代の九州の女性とメールをしている。正直、虚しいと思う。顔も分からない相手と文章だけの相手と何を築けというのか。暇つぶしと言われればそれまでだが最終的に満足できそうに無いことが分かっているというのは少し呆けた感じにもなる。想像の中の相手で希望を見出すのは難しい。
その九州の女子がビワが好きだそうで嬉々とビワの素晴らしさを語ってくる。今日早速、ビワを食べてみることにした。果物。どうにも落ち着かない。ビワができるビワ林というのは妖怪漫画で登場しそうなおどろおどろしい林。そんな陰といってもいい林から誕生した陽気なビワに怯む。すぐには食えない。時間を置きたい。どんな心情で食えばいいのだ。いやになる。夏の訪れを拒むように食うのを避ける。果物全般に共通することだが、食べる前に覚悟がいるのはどうしてなのか。女の人は甘いものを頻繁に食べる能力に富んでいるそうだが、陰鬱な男が果物を一人で食うのは相当な覚悟を要する。ぬるい風と共に、ある独房で暮らすある狂人を思い浮かべて、これから始まる夏を憂いている。蒸し暑い。