百歩

私という人間は、誇りもなく、知識もなく、才能もなく、いつも失望しており、傍から見れば甲斐なく残念な者としか思えません。そんな自分自身を卑下していると、いつもヒロッペさんからメールがやってきまして、庇ってくれたり励ましてくれたりするのでございます。遠い所に自分を知っている人がいる、そういった事実が自分の難儀を削ってくれるのです。
今回、ヒロッペさんと金沢を散策することにしました。
十時に待ち合わせ。人と待ち合わせするというのはいつだって緊張します。会った瞬間、顔や形を見て、ああヒロッペだ、と思う段階が照れくさくて、嬉しくて、達成感が溢れます。
天気は晴れており、ヒロッペは健康にいいから歩こうと言いました。賛成でした。この日は三連休の二日目、混雑したバスを見るとどうにも見ているだけで疲れてきます。歩くという行為は脳が活性化されますし、煩悩が浄化されます。
会話をして歩きました。神社でおみくじを引き、二人大吉で盛り上がり、市役所へ行きました。ヒロッペは「市役所」そのものが好きだそうで、建物の感じが好きなのか、役人の喧騒の感じが好きなのか、分かりませんがともかく気分を高らかに嬉しそうにしておりましたので、こちらも嬉しかったものです。
次に美術館へ行き、奇妙な作品に怯えながら、鑑賞し、兼六園へ参りました。



既に雪吊の準備も万端でして、紅葉が色とりどりに染まっており、なんとも注文どおりのような景色ばかりで感嘆と致しました。



兼六園には茶店が所々に存在しており、行列が作られている店に並び、兼六団子とあんころ餅を購入しました。兼六団子は酸味のある粉を付けることで抑えられたほどよい甘みを味わえ、あんころ餅は餡の凛とした味で、なるほどどちらもおいしかったです。