ブルーカラー教習所

9日から11日までは会社ではなく、ブルーカラー教習所(仮名)で玉掛け講習を受けていた。この教習所は建設業務に関わるあらゆる技能講習を実施しており、業務の便宜となる資格取得をすることができる施設である。ここには十月下旬にも足を運んでおり、今回は三つ目の資格取得を目指し、「玉掛け」に挑戦したわけである。
今回は19時間コースということで三日間の講習期間で行われた。前回来た際は複数の講習が行われており、多数の講習者を見かけたわけだが、今回は三日間のうち「玉掛け」の講習のみが実施され、しかもその講習者がほんの5人しかおらず、幾分静けさの増した空間といった感じであった。
初日は永延とテキストを使用し、座学。学科試験に出る箇所を講師がマーカーを引くように、と公言しているので、はっきり言って意識半分に聞いていてもいいくらいだ。室内の過剰な暖房とさほど緊張感のない講義で半ば朦朧とした状態が続いた。時間は朝8時半から夕方6時まで行われた。
二日目は座学の続きと学科試験。質量目測という計測器具を使わずに自分の感覚だけで物の質量を判断するテストがあったが難なくクリア。机上の作業は嫌いではない。この日は夕方4時半には終了。
最終日は実技。屋外作業であるが、あいにくの雨でコンディションはよろしくない。500キロ以上の物体を玉掛けで移動させる作業をするわけだが、手順が40くらいあってとても1回、2回では覚えれそうもない。感覚で覚えるしかないわけであるが、案の定四苦八苦しながら午前中を終える。
雨の中の作業ということで、昼飯はラーメンにしようと決めていた。冬の雨に打たれると味がどうのこうのというより、とにかく熱い物を食べたくなるものだ。教習所周辺は割りと閑散としているが、車移動をすれば煤けたチェーンの中華屋に行き着くことくらいはできる。チャーシュー麺(¥580)を啜れば、有無を言わさずに旨かった。暑い夏に水を飲むのと寒い冬にラーメンを啜るのはほぼ同等なほどの快楽指数があるとしか思えない。ストイックな施設に三日間もいると外食は貴重な息抜きとなる。
午後、他の人間の作業を見習っていたりすれば案外、覚えてしまうものだ。以前、みのもんたのやってた「愛の貧乏脱出大作戦」という番組で落ちぶれた飲食店店主が繁盛している店で三日修行しただけで、一流の味を作れるようになるという展開が多々あったが(最もその後、ダメになる人も多かったが)、案外、人間ってのは三日間で変化をさせられることができるのかもしれない。そんな希望的観測を胸に、午後は一回練習しただけで本番を迎えることになった。まあ言うまでもなく世の中は甘くなかった。本番において散々な動きを犯してしまったり(試験終了後に個別指導をされたほど)、しくじってしまうわけであるが、それでもギリギリ一発合格できてしまった。あまり「玉掛け」の難易度は高くもないようだ。修了証を入手し、ともかく殺風景な教習所生活を終えた。また来週から殺風景な会社へと戻ることとなる。年末の煌びやかなイルミネーションと職場環境を対比させると、幾分暗たんとしてくるわけだが、来週には暗たんとした空から雪が舞い降りて来るそうだ。