盛夏の労役

目覚めれば煤けた旅館の一室に佇み、へたばったアスファルトの待ち受ける外界の影に怯える。馴れ合いのように仕事をしようと少しずつ心を許しながら今日も夏の草の匂いが強すぎる。
暑さで鈍くなる心をよそに、蒸し暑い機械室で無理やり体を動かし、汗が止まらない。
汗まみれの作業着で定食屋に入り、飯を掻きこむ。
意思に反して不快な考えが繰り返し頭に浮かび、それを適当に無視して体を動かし、汗を掻き、汗は金に費やされ、金は汗に費やされる。ため息の仕方さえ知らない、世間を知らない精一杯の生き方だ。
夕暮に脱ぎ捨てた作業着を見て、今日も体を張っていたことに初めて気づく。