雨が冷たい

荷台を整理すると、ポリエステルのシートの影に蜂が隠れていた。蜂はよろめきながら雨の中へさ迷っていった。
大雨に溶けていった労働が残したものはくたびれた雨具と軍手と感傷の欠片。地道な努力を続けていくことがどれだけ大変かをえぐるように知らされる空恐ろしい毎日。それはかつての自分が一晩で忘れたいとさえ思うような一日が日々繰り返される。
はしゃぎ周っている風に見える連中にも実は徒労や憔悴を隠すためにはしゃいでいる連中がいるんだろう。寒い夜の街に照らされる窓ガラスの一枚一枚に、あの頃は感じなかった厚みを感じるようになって、また彷徨いだす。