ゲツヨウビ

朝、寝すぎによる軽い眩みを抱えながら、車を運転する。カーラジオを付けるがどの局も自分の今の感情にフィットしそうに無い。クラシック、違う。70年代歌謡曲、違う。DJの女の世間話、もっと違う。寝すぎた月曜の朝に雨が降っているこの状況に相応な音なんてものは分かりっこない。
運転していると前に若葉マークを付けた軽自動車が走っている。先週は二回、この軽自動車が前を走っていたことを思い出す。こういったことの積み重ねがありきたりな日常を生み出す。
道沿いにはまいどおおきに食堂すき家、ホームセンター、餃子の王将などと郊外の道路にありがちな全国展開の店舗が多く見受けられる。とにかく家を出てからは真っ直ぐに北上して会社を目指す。
会社は大型トラックなどが出入りしやすい高速道路近くに存在する。建物に入ると狭い通路と貼り付けられたようなドアが視界に入る。ドアを開けると机が並べられており、男たちが座っている。
「おはようございます」、「おはよう」「はようさん」「ざっす」「おざっす」。個性が現れた挨拶を聞き時間は流れ、朝礼が始まる。
自分の前の席の嘱託のG氏の整髪料のにおいがプンプンする。周りを見渡すとどうも散髪した人間が数人。週明けにありがちな小さな変化だ。
ミーティングを終え、さっさと出かける。今日は隣県のN市を回って機械を点検だ。
大体、一日三箇所回る。今日の一箇所目は順調だった。ホースが抜けてしまったのでラチェットで強く締めた。最後の確認作業が神経を使う。
一つ目が終わると既に正午だった。ファミリーマートでタンドリーチキンを購入し、白飯を食べやすくした。
二箇所目はスーパーの敷地内にある機械だ。順調に終わる。
三箇所目は割と新しい機械。近くの屋根に烏がわさわさとおり、鳴き声がこだます中、点検。ギーー、ギーーと機械も鳴いた。夕方になり、雨のせいか4時台に暗くなってきた。さっさと終える。
帰社する。青松課長に雑用を頼まれる。やる。明日の準備を済ます。
7時半に退社。朝に比べて幾分、若やいだ印象の道沿いを眺めながら帰宅する。