朝起きて、疲れる

 未明に一度起きていたというのが疲れている要因である。どうにも昨夜、久々にランニングをしたせいで体が痛んで午前二時四十五分に起きてしまったのだ。夜中に一人ピクリと起きた時の疎外感ったらない。携帯電話を見ても何もメールや着信があるわけもなく、何の流れも無い闇の中に佇む気分と云うのは昼間と違って何とも云えぬ虚しいものである。
 仕方なく布団で横になり、我思う。この世の中に不幸な人のいる限り、自分も幸福にはなれないと思う事が多いことはいけないことであろうか。私はあるときから心の底から楽しむことができない性質なのであるが、その理由が理不尽な事件や事故が脳裏に蓄積しているということにある。そうして自分、あるいは自分の家だけの安楽を得るために隣人に殺意を抱く生活をしてどうして幸せになろうか。などと布団の中で恥じていたのである。
 しかし未明に寝てまた朝になって起きると、徐々に冷めた感情が突出しだし、ムクりと体を起こす頃にはもう自分だけの安楽に向かって走りざるを得ない様態となっているのである。また一日が始まってしまった、などと感慨に耽る間もなく。朝起きて、疲れる。