犯罪者に羨望する

 犯罪は最期の手段だとは思っているが、果たしてどうだろう。憂鬱な人間が線路の前に何も考えずに立ちつくし、コンマ1秒で飛び込むことを決意してしまえばもう誰も止められないのと同様に、結局はその人間の最後のコンマ1秒の決心で犯罪は発生してしまう。自己啓発本の類は何も私の心を打たないが、犯罪者の手記は私の心を大いに打つ。私が犯罪に羨望しているからだ。
 テレビで以前は尖って禁煙や結婚をばかにしていたお笑い芸人が禁煙して結婚し、子育てをしている。私はその人間に笑いを提供されていたことを恥じ、バラエティー番組に興味を無くし、反逆的な人間はテレビ界におらず、過去の書籍などから発見せざるを得なくなった。