成人式に出ていない男が成人式を語る

 成人の日にとんずらした酷い業者のニュースが駆け巡っている。今の時代は新成人が暴れて御用になるよりも、企業が暴れて御用になる方が主流なのかもしれない。


 私が成人してからもう干支一周分の年月が経過した。成人式には出なかった。仲の良い友人もおらず、故郷を離れており、面倒くさかったから。
 今、未成年で孤独で来年以降の成人式に出ようか迷っている、もしくは出たくないなと軽く思っている人間がいたら迷わず出ることを薦める。本当に出たくない人はそれなりの理由があるだろうし、それはそれで出なくていいと思う。
 式に出るという思い出作りというのももちろん大切だし、おそらく式の後に同窓会めいたものがあってそこで人と出会え、連絡先を聞けばその後も関係を構築することができるチャンスが芽生える。一回も同窓会に出たことがない私からすればその場を逃してしまったが故に現状、同級生との連絡が無縁だと思えなくもない。故に出た方がいい。
 大人になると分かるが、学生時代の同級生と会える数は年を重ねれば減っていく。それがハタチから誰とも会ってないとなるとほぼ一生誰かと会うことはない。
 仮に式に出て、同窓会に出て、いずれも誰とも喋らずに連絡先も交換できなくともそれはそれで後々いい経験だったと思えるはずだ。出た方がいい。


 成人式に出ず、今、社会人10年目を迎えようとしている私はその後、乗り気がしない中でも様々なイベントに参加した。その結果、あらゆる糞なイベントにも後々の自分に役立つものが砂金ひとかけら程度でも埋め込まれていると思えるようになったからこんな文章を書いた。