四日目

今日もおめおめと鬱工場(以後、収容所と記す)へ行ってきた。何のために行くのかが分からないが、とにかく俺は朝7時18分に家を出て、車で約30分掛けて収容所へ向かったのだ。
かなり無意味な8時間労働。今日は昨日よりは仕事を少ししたが、それでもありえないほど、いやマジで仕事が劇的に少ない現状に変わりはなかった。大体、仕事は俺以外の人間で全てできるように設定されているわけで、俺は他の人間の仕事を奪うかしない限り仕事ができないようになっている。それでも仕事してれば楽しいというわけもない。ただ単にガーゼみたいな繊維を永延と馬鹿でかいロールで操作したり切ったりするような仕事だ。何のやりがいも見いだせそうも無い。

くだらない仕事内容→そのくだらない仕事すらもさせてもらえないくらい絶望的な暇→暇でも収容所内で人の目を気にして何かをしていなければならないという強迫を受けている精神

これで一日8時間過さなければならない。これは阿鼻地獄ではないか。
収容所では誰も彼も個性も何も無い作業服を着ており、全く脳を刺激されず、機械も同じ動きを繰り返すだけで見てても何も感じない。脳を刺激するものといえば、収容所内で突如として鳴り響く屁みたいな音。「プー!!!!」と何の音か不明だが、けたたましく鳴り響く。心臓に悪い。とにかく精神崩壊への道が進むばかりだ。こんなとこで正常でいられる人間は人生折り返しだろ。
その通りらしくて中年が多い現場だ。婆の体から石鹸かボディソープの強烈な香りがしたり、休憩中に爺の煙草の副流煙をモクモクと吸ったりして気持ち悪くなった。禁煙社会もブルーカラーの現場では屁の役にも立たない。休憩室の老男女勢ぞろいの状態は全く21世紀の世界ではなかった。
俺はカッターでガーゼみたいな繊維を切る作業をしているときに頭の中で「爺をやるか、婆をやるか」と考えていた。そんな危ないことを考えていても時間は全く過ぎない。
今日も長かった。もう辞めよう。だけどとりあえず明日は行く。