晩秋の道化師

バイトってのは毎回毎回同じことの繰り返し。そんなマンネリ化を打開しようと、どうせ今日を入れてあと4回なのだから、今更他の従業員にどう思われてもいいってことで素っ頓狂な男に道化してみた。朝礼直前に黒いショッカーみたいなマスクを被ってみた。普段は無口で黙ってる根暗な表現力の無い男なんだけど、この痛烈な道化は痛ましすぎる。頭おかしいぞ俺。
私「やあどうも、今日はこれで接客します」
高学歴社員「え、とああそうか…、ごめんね」
私「ちょっと突っ込んでくれないんですか!!」
反応はめちゃくちゃ微妙。高学歴と奈留美さんは失笑の連続。失笑があっただけ良かったと思うべきか。さりとて物悲しい空気。これが俗にいうダダ滑りって奴なのか。不思議と後悔はしなかった。だが、今日のことは痛ましい記憶として今後も脳内に残っていくのだろう。
それよりも何かを打開しようとした自分を褒めたい。その何かってのがよく分からんが。やっぱ二、三人の受け手じゃ少なすぎる。もっと人数がいないと駄目だな。
なんというか普段の根暗なキャラが裏目に出た。痛ましさが前面に押し出されたんだろう。悪い夢でも見てるかのような彼らの視線が痛かった。
大体な、ノッて来いってんだよ馬鹿野郎が。本来、突っ込むべき高学歴野郎がまるで不具者を眺めるような目で謝ってくるなんて最悪なパターンだ。最低だ鬼畜だ!
あと3回で辞めれて本当によかった。