尾行

信号を右折しようとして一瞬躊躇したら、後方の黒塗りの車がクラクション鳴らしてきたので頭にきて、右折した後に急ブレーキを掛けてみたり、減速して走行した。すると黒塗りはライトをチカチカさせてくるので路肩に車を停めて黒塗りを先に行かせて後方に付いてつけまわすことに。
黒塗りは「餃子の○将」に入っていった。数十分後、黒塗りの中年が出てきたのでまた付回すがそのうち飽きて終了。
どーせ今時の謙虚さの足りない強欲な馬鹿中年だ。これまでの人生で弱者を踏み付けて来たような奴に決まっている。さらに食生活も荒んでおり、「餃子の王○」で油ギトギトの物ばかりを食っては吐き、食っては吐きを繰り返している気持ちに余裕のないクリーチャーに決まっている。
しかしながら本意じゃねえ。本意じゃねえんだ。友達がおらず、しょぼい大学のしょぼい講義の日々、そしてそんな毎日の鬱憤、イライラと持て余した時間を煽ってきた車を煽り返すことに注ぐという、非生産的な日常。
出会えない親友、出会えない恋人の幻影にうんざりしてるんだ。毎日いろいろな人間を見ることはあるが、結局は俺とは無関係。そのストレスが俺の気力を吸い取り、純な気持ちをなぶり殺す。車を煽り返して、執拗に追い回したのもその表れだ。
誓ってもいいが、もしも助手席に恋人がいたらこんな尾行はしねえよ。
独りでい続ければ、無気力で堕落して下らないことばかり考えてしまう。