虚無者は 虚無者にひかれ合う!

うおおおおお!!
夜中に腹が減ったのをこらえて、寝て朝起きたら胃が全く食物を受け付けない眠った状態になっている、節分の時に年齢の数だけ豆を食おうとして大して好きでもねぇ豆を嫌々食べようとしているようなそんな胃の状態。寝ると少々の食欲はねじ伏せることができるってことだ。
自殺には程なく興味がなくなったが、高所から体を地面に叩き付けて強打したいという意味不明の感情が寝起きに限って競りあがってくる。そう、まるで変態だ。
23歳になったが、23歳といえばこれというものは別に無い。そう、どうでもいいのだ。
あれは十年前、つまり1998年の中一のときのことだったが、あの頃の俺は部活に熱中しており、性欲が開花して、更衣室にいる女子がどうやって着替えているのだとかそんなことばかり考えていた。クラスでの係りはミルク係。「ミルク係」。まるでネーミングが軟弱な感じだ。作業は至って単純。一階か二階だったかの配膳室から四階の教室までクラス分のミルクを持って運ぶという単純作業。昼食の時間が始まり、ミルクを運べば昼飯にありつける。中一のときは給食じゃなかったので持参弁当、またはパンを買ってくうのだが、みんな席の移動はせずに各々の所定の席で食っていた。俺が座っている席はクラスの窓際の一番後ろ。端の席だ。そのときもいつものように持参弁当を食っていた。小食なのでかなり小さい弁当箱だったと思う。
弁当ってのは冷めててふてぶてしいものだ、などと食っていたその時だった。誰かに闇の中からじっと見られている感覚に陥った。真昼間にもかかわらず異様な雰囲気を感じた。用具入れ。俺の席の後ろには用具入れがあって、その隙間から何らかの何かがあると思われた。凝視するとー、隙間に男の目が発見できた。その男は気づかれたと察したのか勢いよく用具入れを開けた。クラス中が驚嘆の声。それは鶴が最期に発するような奇妙な声。「ギャー」でもなく、「ワー」でもなく、『ウィゑ〜!!』という悲鳴がどこかからか上がった。男は愉快そうな顔でこっちを眺めており、「ごはんちょっとちょうーダイ♪」。その男は少し頭が弱い男として若干有名な男で、狂人とまではいかないが、いや俺に言わせれば狂人だった。
うろたえる俺を尻目に瞬間的に狂人によって俺の主要のおかずであったハンバーグを奪取された。しかし、ハンバーグを取られた憤慨は心中の半分にも達してなく、「いつから用具入れに入っていたんだ?」という疑問の方が数倍大きく、その声を掛けざるを得なかった。狂人は答えた。
「二時限の終わりから」。
二時限といえば体育の授業があった時間だ。なんということだ。奴は息を潜めて約二時間も用具入れに滞在していたと言うのだ。忍耐力の使い方が奇妙だ。その男はほどなく養護教室に行ってしまった。そう、これはどうでもいい話だ。