道すがら元日

どんな情勢であれ、人々が期待できる対象。その一つが「新年」である。人々はいつの世も「期待」を欲している。そのため、「期待」を形にして慣例をこなしていく。
「期待」。随分と疲れる単語である。「希望」や「期待」、前向きな単語はどうも肩が凝る。かといって後ろ向きな単語が好きというわけでもない。私はもと来た道を引き返すよりも、地図も持たずに訳も分からずさ迷うほうがマシだと考えている。


引き返そうと思っても、こんなところまで来てしまっている。帰り道が今ひとつよく分からないし、引き返すのにどれだけ時間が掛かるか分からない。それならいっそ、このまま先へ進もう。
年を越すとき、決まってそんな感覚に陥る。腹を括って先に進む潔さを僅かに感じつつ、これからの自身の覚醒を根拠も無く期待して、結局生ぬるい日々を過ごしていくのである。
いや、まだ一年が始まったばかりですね。うっかりしてました。新年明けましておめでとうございます。