産業坊主

軽トラで片道120キロ、機械掃除を3時間でまた120キロ。一年以上使っているツナギはクタクタのよれよれになってきた。私もいよいよ産業戦士のようであるが、いやそうではない。腕力もなければ挨拶もヘタなただ産業服を着ているだけの着ぐるみ坊主である。
合間に自販機でジュースを買う。すこぶる旨い。私は思った。夏場の仕事というのは飲料水をいかに旨いと感じことができるかも含んで仕事なのではないかと。
道路を走っていると同じ会社の者が対向でやってくる。私はこういったときに酷く会釈の仕方に窮する。バス会社は敬礼のような合図をしているようだが、私の会社でそこまでする必要性も感じられず、かといって無視することもできぬ。私はいよいよと首から上を会釈のような体勢の崩れを見せただけでその場を走る。
復路を運転中。「(今朝の晩飯はなんだった)」とわけのわからぬ問いが頭に浮かぶ。私は現場でコクゾウムシの大群と格闘して疲弊していた。いやはや帰りの運転中の頭の中とはトンチンカンである。
今日は棚ぼた、いや、七夕である。