business trip(2)

 旅館で朝飯を頂いて早々に出発することになる。宿泊料を支払い、はんなりした言葉で女将が見送る。
 隅氏とは一旦別れて別々に作業に取り掛かることになる。一件目は県道沿いに忽然と存在する機械だ。トラックが多く飛び交うこの国道は、湖が近くて駐車場のでかいコンビニがいくつか存在し、巨大で俗悪なパチンコ店の看板が何度となく現れる。
 およそ二時間で一件目を終えて、二件目は田舎道をひた走り、酒屋の近くにある機械だ。暑苦しい中、風に吹かれて作業をする。正午過ぎに終える。隅氏から連絡。午後からは合同で作業をしよう。
 午後からも順調に行き、午後四時には全ての作業を終了し、そこから百八十キロ先の会社に戻ることとなる。やっほう終わったぜ、高速道を突っ走る。一種の高揚か、性器を弄られたようで、軽い吐き気も伴う妙に浮き足立った心境に陥る。この心境は小学校高学年の時、水曜の六時限がクラブ活動だったのだが、その直前の五時限目に授業を受けてた時も「(これを終わればクラブ活動だ)」と思いながら陥っていた。
 サービスエリアで休憩し、隅氏と湾を眺める。とても綺麗だ。山道が途方も無い感じ。恋人同士が願いを込めた紙が多数、初詣の神社の要領で木に結ばれている。薄汚れた作業着姿でそれをぼんやり眺める自分と隅氏。お土産を買って、高速に戻り、夜七時過ぎに帰社する。