六月十四日

 車を運転して脇を見ると、前掛けをつけたグレート義太夫のような風貌の男がママチャリを非常にくたびれた感じで漕いでいた。一瞬の出来事であったが皆、大変なんだと自分を鼓舞するには十分な光景だった。
 たるい仕事を時間を費やしてこなすには一つ一つの作業に職人レベルのこだわりをもつことが大切である。午前中からして既に暑い。じめじめした晴れの日は厭だねえ。世の中のあらゆる理不尽から罵倒されている感覚になってムシャクシャしてしまう。
 それでもやるしかねえ。明後日からの旅行を楽しみにするしかあるまい。