二七才なんてもう若くない

 既視感。デジャヴ。春はもう二十七回目だ。
 社会を前に立ち尽くし、何に怒っていいのか悪いのかもわからない。
 既卒では就職が難しいからという理由で大学に編入して、結局どうしようもない大学で何をどう勉強すればいいかわからず卒業後はブルーカラーの社員になって歳を取る。学校で何も学ばずに会社では会社で過ごすための訓練をしているだけであり、一人で生きていくための訓練を受けていないのである。技術、スキルを磨くことが唯一、個人の強みだとは何と無く分かっているが、予備校や独学であらゆる実務を学ぶ気力もない。
 恋愛もそうだ。同い年で結婚して子供がいる者もいる。私は女にもてない。けれどもそれは自分が悪いのだろう。ではどうすればよいのか、よくわかっていない。
 単純労働者として生きていて、恋愛をしたくてもどうすればよいかよくわからないのだ。今、私のようなそんな連中がうごめいている。深刻だ。テレビの中では同世代のメジャーリーガーの活躍が伝えられている。
 まず考えるべきは、死なずに生き残るための方法である。自棄になる前に自慰をすべし、他人を羨むな。今はそれくらいしか思いつかない。