キャリーオーバー

朝礼後の興覚めた感じ。誰も何も発さずに窒息しそうである。運ばれた茶を飲むことが空気を吸うかの如く。各々が予定を確認しているが、私は見習い時分で予定など上司の瞬時の気持ちで変わる。やはり明けてはならない朝だったのかと思いながら、何もせずに空白の所作を繰り返す。
作業をすればこびりつくグリスの臭い。工業製品のクセに妙にシチューのような臭いがするのがムッとする。大声叱咤がたまに訪れる職場。機械の地べたに潜って作業をすればあっさりと油土が体を覆う。
苦しみとは油断の後に訪れる現象です。現在、油断に気付く気力がありません。「無力」という言葉を頭で咀嚼してしまい、めまいがします。人生とは、仕事とは、宝くじとは、油断に付け入る卑怯ものです。