「趣味」

はてなダイアリーでは毎週、お題が設けられており(更新意欲の向上のためであろうか)、自分は今まで素通りしていたのだが、書いてみようかと思う。
今週のお題は趣味である。
日常生活において「趣味はなんですか」という質問をたびたびされる。この質問の裏側には「趣味があることは当然、趣味がないことは罪」という実に脅迫的な意味が込められている気がし、自分は質問をされる度に秋夜の墓地に一人佇むほどの恐怖をひたひたと感じ、終には目眩を覚える有様です。
人間には趣味を持つ権利も、持たない権利もあると思うのです。
しかし世間は親和を追及してきます。それに応えるように下手な小細工をしてでも趣味について話さなくてはならない、と自分は思い(所詮、自分も世間に首肯している一市民であるわけです)、とうとう「趣味」について話し始めるわけです。


秋といえば芸術。芸術に興味があるか、と聞かれれば迷う。絵はてんで下手糞だし(酷い)、音楽は人並みよりも聴かないであろう、映画も人並みに観るかそれ以下。写真もあまり撮らない。しかし芸術に興味がないといえば嘘になる。かといって趣味ではない気もする。などと灰色に濁ったような思考をしていては一向に話ができそうにない。こんな錯乱した思考で趣味について話せば疎ましがられることが目に浮かぶのでどれか一つに絞ることにする。「映画鑑賞」。


私の趣味は映画鑑賞である。映画鑑賞は文字通りただ映画を鑑賞するだけで奇妙な動きもアクロバティックな動きもしなくても良いし、ただ与えられた席に座り、1シーン、1シーン、どれだけ苦労しているか分からないシーンを漫然と、たまに憮然と眺められるわけである。そして運が良ければ映画の影響で自身の志向の地盤が形成される。映画鑑賞、これほど贅沢なことはない。
そうこれでいいのだ。これで趣味として成立しているのだ。