バイトの正しい辞め方(2)

朝、バイト先に辿り着くと
店長が近々異動するという
降って湧いたような話を知った
しかし、俺にとっては関係ない
なにしろ俺は辞めようとしているのだ
そして十月一杯での辞意表明を述べた
すると
「新しい店長に言ってほしい云々…」
と透かされた
もう……
あと一掻きか二掻きで…
向こう側へ辿り着くって言うこの最後の時に
波に流された…
まったくどうしてこうも偶発的なわけ
辞めようと思ってる時期が新しい店長が来るってタイミングと被るって
そして
「週に一回でもいいから今後も入ってほしい」
まったく………どうしてこうも強欲なわけ
週に一回だけ入っても店が喜び勇むだろうが
こっち側のメリットは一切合切ない
そもそも一瞬たりとも働きたくない仕事をすること
就職活動の時期に
大人の都合…
こんなものに構って己の人生を破綻させるわけにはいかない
情けをかけてる場合か…!
バカがっ……!
辞めなきゃ虐げられるんだよ………


そして今日のバイト
控え室にて
高校生バイトが異常にシフトを入れられていることに愚痴を言っていた
俺はいわば愚痴を聞く係り
聞いていると
俺よりも明らかにシフトが多い
土日ともに二度出勤にさせられていたのだ
俺は同情しながらも
潜在意識下で高校生バイトが
もしやシフトを変わってくれだの言ってくるのではと危機感を持った
腹の底じゃ高校生バイトがどれだけ多忙だろうと他人事
どうでもいいことだ…
このことに偽善者として
偽善の温もりを吹っかけ、高校生のシフトを変わってやったとしても
適当な感謝の言葉、適当な菓子
そんな程度の物しか得られない
物事の価値観を見極めなければならない
よくいるのが、バイトに夢中になって留年するという奴
こういうのが愚の骨頂
バイト代と学費の大小も分からぬノータリンは典型的な社会の食い物
俺は違う
区別が付くはずだ
この時期を無駄に過ごせば生涯賃金のケタが減る
ただでさえ編入で地方無名大学という立場
ろくに試験勉強もしてない
資格も無い
今回の新卒採用を失敗すればもう立ち直ることは難しいだろう
今ここ一つ…!
向こう四、五年の運を使い果たしてもいい
とにかくこれから就職活動に時間を割くしかないのだ