インターネット活用術その1

私は、世間の人間がなぜ、インターネットに熱中しているのかという疑問を解決するため、ネットカフェへ向かった。
小汚い自動車、自転車が溢れている店の前
イカ臭い店内
「もう日本はお終いだ……」
思わず口にした言葉に、ネットカフェ店員が鋭い眼差しでこちらをにらみ付けているように思えた。

淡泊に2ちゃんねるに書き込みをする者
ニコニコ動画を嬉々としながら眺めている者
ネットゲームに夢中になり、廃人と化す者
首切り画像や死体画像が簡単に見れてしまう環境
書き込むたびに炎上するブログ
エロ動画を見て励む者

ネットカフェの客たちは、ズタボロで身なりも悪いものが多く、鋭い眼差しで監視するようにパソコンを見つめている。
ブロードバンドだの、光ファイバーだの、デジタル家電だので、近未来的生活に浮かれていた私は、改めて、インターネットにおけるデメリットの現状を噛み締めていた。
そんなボロくずのようなネットカフェに、老いた人間が一人やってきて我々を見るなりすべてを悟ったのか、涙ながらに 
ゲイツが申し訳ありません」 と、我々に何度も土下座してわびた。
いや、このネット廃人の増加はビルゲイツのせいではない、と私は述べようとしたのだが、うまく言葉にならなかった。
誰が悪い訳ではない。ネット社会で便利になろうとするあまり、逆に人間の心が貧しくなってしまうことにすぐに気づくことができなかった我々自身が悪かったのだ。

私は、ネットカフェ店員からもらったあめ玉を手に、打ちひしがれながら、帰路についた。