つらつらと雑文

 どうせ俺なんて、と考えてしまうと図書館であちこちの本棚を行き来するためにどうしても密着してしまう他人に大して咄嗟に暴行しかけたり、脚立の上に人が乗って作業しているのに脚立を蹴りかねないので、どうせ俺なんて、とは考えないようにカルシウムサプリメント精神安定剤にみたてて胃に流し込む。
 好きな作家の好きな本があっても図書館に行くと貸し出し中になって失望することが多いから、図書館では何かを目当てに本を探さないことにしている。そうしてふと目に入った、「おいしいハンバーガーのこわい話」を本棚から抜き取り、空いている席に座って読み出す。そこには強烈な鶏の処理方法やファーストフードが社会にもたらす弊害が書き連ねられている。のほほんと売られているように思えていたチキンナゲットが実は虐殺に虐殺を重ねられた挙句の鳥の屍と思うと普通は食欲が萎えるのだろうけど、字だけ読んでもリアリティがないというか、別に虐殺された屍骸食って生きててもいいじゃん。生きていくって事はそれだけ残酷なことで、長生きするためにベジタリアンになる人もいるんだろうけど、たとえば明日4tトラックに撥ねられて即死するとしたらそんな食生活なんて気にしててもしょうがねえじゃん。といったことを考えながら俺は席を立って本を戻した。そうして歯列矯正の本を少し立ち読みして戻して、犯罪史の本と森達也氏の本を取り、席に座り読み出す。隣にニコチン臭漂うおっさんが座ってきたり、餓鬼がわめいていたりしてなんかイラーって犯罪史の本に出てくるピアノ殺人事件の犯人みたいな心境に陥りそうだったけど、耐えた。
 傲慢、怠惰、追従、狡猾、美徳、疲弊、憤怒、殺意、軟弱、偽り。ふとした瞬間にその全てが優越感と劣等感という二つの感情にトレードして、今の俺のレートは劣等感が勝っている。そんな状態。