面接会

聞いた事のある家を作る会社のブースに行ったらおっさんがこう言った。「自己PRをしてください」。これを聞いて腰が抜けそうになった。俺にこんな台詞を言うのは常人に対し、「腹踊りしてください」と問うようなもので、とにかく何一つ返答パターンを用意してなかった。自己PRなんて考えたことが無いのだ。どうしようもない。そんなどうしようもない状態で脳をフル回転させて適当にこんなようなことを言った。
「私は早起きが得意です。かつてはボランティア活動をして山掃除するために早起きしてたのですが、最近は熊が現れては困るので山へは行きません。しかし山を思う気持ちはこの会場にいる誰よりも高いような気がします」とか意味不明なことを言った。ボランティアなんて一回もしたことない。嘘八百だ。おっさんはにやけるだとか腹をよじらせるような反応もなく、ただ冷徹にこっちの顔を見てただけだった。
「もうちょっとわが社のことを知ってから応募するってのはどうかな?」ってかなり遠回しに「てめえは不採用だこのクズが!」ってことを言われて終わった。短大卒男、ここにきて自暴自棄になりそうです。晩秋すらも俺を嘲笑っている気がする。