寝ること

人間の一生は地獄でございまして、人間三百六十五日、何の心配も無い日が、一日、いや半日あったら、それは仕合せな人間だそうです。
今日の昼間、グウスカと寝ておりましたら、夢の中にパンダが出てまいりました。そのパンダは日本語を堪能に喋り、いえ、堪能でなかったかもしれませんが、「飼われるのも飼わされるのも大変だ」と嘆いておりました。それは確かにそうなのかもしれません。
空を飛ぶ雀や鳩といった鳥たちはほとんど食べ物のために飛んでいるのであり、当てもなく飛ぶものは全くおりません。思えば人間ほど本能を押し殺した者はいないのです。けれども寝ることは人間も動物も関係ありませぬ。夜になると巣に戻り、ごろごろと寝ることに唯一生活の救いというものがあるのです。後は恐ろしい怪談染みた悪夢を見ないことを祈るだけです。