すき家にて

店員はドライブスルーの注文対応の際にインカムマイクを使用する。そのため、どこで作業していても注文対応ができるというわけだ。

店員が客席に座る客Aの近くでドライブスルーの対応をしていたら客Aは自分の注文を対応していると勘違いしているらしかった。
店員「(マイク越しで)マイクに向かってご注文をどうぞ」
客A「豚とろ丼特盛」
店員「はい、牛丼肉1.5盛りですね」
客A「えっ!豚とろ丼特盛です!」
店員「はいっ、それと牛丼並盛ですね」
客A「えっと!豚とろ丼特盛です!」
なんだか滑稽とも不憫とも思えるような展開になった。距離関係は近くとも心が全く遠ざかっている両者を見ていると昨今の尖閣諸島の問題を思い起こす。事態は空回るばかりだ。
店員「お会計○○○円です」
客A「あっ…!」
ここでようやく客Aは店員との情報伝達のしがらみを悟ったようであった。
私「あれはドライブスルー用のマイクです」
事態が収束しかかった気配を計ったように私は突っ込んでみた。飲食店で赤の他人に突っ込むことなど極稀なことであったが(私は人間のいざこざの渦に巻き込まれることに恐怖しておりますので大抵無言です)、
客A「あっ……」
といった消え入りそうそうな声が返ってきただけで、客Aはその後豚とろ丼をズルズルと音を立て続けて流し込んでいた。
安価な店での消費面の視察をすると、図々しさを発露する光景に出くわすばかりである。
私はこれからも消費行動の分極化について研究していきたいと思う。