熱気

 どうにも梅雨が明けてからと云うものの、暑さで熟睡できてないため、朝から鈍らである。
 家から車を出すと、また右手に煙草を持って窓から突き出すように煙草の灰を落としながら走行する中年の男の車が前を走っている。朝っぱらから気分の悪い光景だ。機嫌が悪いときはこの中年を叩き込みたい気分になる、今日がそうだった。
 そうしてしばらく走行すると小学生達が右往左往と登校している風景が垣間見える。いつも目立つのがカモシカの脚のような脚をした異様に背の高い女子小学生である。昨年見たときはきっと六年生だろうなと思っていたが、今年も黄色い帽子に赤いランドセルをしょっている。バスケットやバレーボールなら町内レベルの女子レベルならエースの座は間違いないであろう。
 などとしきりにそうした女子小学生を盗み見する様は劣情極まりないと思われそうであるが、決して性の対象にしているわけでなく、タンポポを眺める心境に近い、凛とした上品な心境であることを誤解を招かぬために記しておく。
 そうして仕事に向かうのであるが、はっきりいって仕事がない。修理依頼も無く、さてどうしたものかと軽トラを動かし、右往左往とし、わけの分からぬうちに帰社してしまったというのが今日の出来事である。はっきり言ってこの糞暑い中、外で働くというものは古墳時代の馬鹿面下げて死んだ大王の古墳作りに勤しむ奴隷の心境で、そうなると仕事をサボってしまうのは必然であり、そして誰にもばれてない実情が明日へのサボタージュへと繋がるというわけである。
 帰りにユニクロに行き、駐車場に車を停めようとしたらしたり顔をした大型車に乗った若者がしたり顔で車を停めようとする際にこちら側に突っ込んできたので、その絵に描いたような慢心ぶりに心底腹が立ち、殺意すら浮かんだものである。 しかしそこは私は大人で、気に入ったシャツを店で購入し、機嫌を直し、無事帰宅した次第である。