Aster

 強迫性障害の症状が出てきたり、アレルギー体質的な痒みが全身を襲ったり、健忘症気味になったり、相変わらずの劣等が充実してきつい。さっさと休みくれ。働くこと、正常を保つことの難しさを痛感する九月だ。
 客の爺さんと適当に話したことが唯一リラックスできた今日のシーン。
 こと細かく仕事の詳細を書き記したら大したことはしてないと思われるかもしれない。だけども、僕だって、今まで随分辛い思いをして来たのです。
 中学三年の時に友達がいないクラスになってしまって、結局、最後まで友達ができなくて、好きなもの同士で班にならなきゃいけないときなんかは、腕力のある唇が常に荒れている坊主で小柄な知的障害者と度々一緒にならざるを得なくて(卒業から数年後、新聞に彼がパン屋で何人かの障害を抱えた人たちと共に几帳面にパンを作っている記事が載っていた。彼らは健常者よりも一つ一つの細かい作業に対して集中力があるんですよ、という店主のコメントもあった)、休み時間は周りが騒ぎまわっている中、机に突っ伏して一人寝て過ごしたりして、それも居心地が悪くなったら学校内を無目的に徘徊する(水飲み場に行ったり、階段を上ったり下ったり)という、狂騒的な校内で暗鬱な時間潰しをしていたんだよ。
 高校の時は過敏性腸症候群になってしまって、机に向かうことすら辛くて、休み時間はトイレと教室を往復して、落第寸前でギリギリ卒業したわけだけども、今日も会社の課長さんの息子が高校野球の地区大会を突破したとか言っていたけど、高校の思い出が皆無な僕は、そういう話を聞くだけでも辛いんだよ。そんなことは別に気にしなければいいのだけども、でも学生時代にどうしてもごまかし切れない暗雲の不安ってものが胸の奥にこびりついていて離れてなくてそれをしょって大人になってしまったんだからしょうがないだろ。
 今日もロープの使い方の初歩的なことで怒られてしまった。こんなことは新入社員でも知ってそうなことなのに、二年半も何やってたんだろってまた思わされて、だらしのない自分がこれからどういう境遇になるのか考えると呆然としてしまう。僕はもう朝の職場のラジオ体操の時間で一日分の疲れをどっと感じてしまっている。嗚呼、学生時代にふらふらと遊ぶでもなく学ぶでもなく、怠けることを日課としていた僕には労苦が恐ろしい。 
 そんな甘ったれたことを考えているうちにも課長の息子は甲子園に一歩ずつ近づいていくだろうし、ソフトバンクホークスは優勝に近づいているし、年の瀬も近づいている。
 労苦、孤独、病苦、無能、憎悪、それらに取り囲まれれば僕にはもう手淫する気力すらないのです。こんな怠け者には優しくしてくれる人がたまにいても助けてくれる人はいません。当然です。 ひどくおどおどして間の抜けた喋り方をして、そうして雑談すらもままならないそんな男で威厳に怯えて、いえ、もういいです。
 言葉と云うものは不安から芽ばえるものだと誰か言っていました。今日は不安なのです。ですがもう何もいえません。