十一月、狂気を思い出した

 今月、職場で私の陰口を言っている人間がいて、たまたま私の耳に入ってきたので、あとから陰口の内容をそっくりそのままメモしてその内容を陰口人間にメールで送ったら、そいつは今月で辞めることになった。正社員ではないのであまり痛手でもない。

 

 それはともかく映画「JOKER」を観た。いい映画だった。以下、ネタバレあり。

 

 

 

 この映画を端的に言うとしたら、突然笑いが止まらなくなるという障害持ちの主人公のアーサーが自分の母親を含む6人をぶち殺したという話だ。

 最初に、仕事をクビになり、ピエロ姿で電車内にいたらたまたま居合わせた酔っ払ってた証券マン3人が悪態を付いて暴行してきたので銃で殺した。銃は、以前ピエロの仕事で町のごろつきにごみくず扱いされていたアーサーを見かねて同僚が護身用にとくれていたものだ。

 4人目は母親だ。既に病人であったが、いずれ捕まる人殺しの親として生きても哀れなだけなのでアーサーが首を絞めた。

 5人目は銃をくれた同僚が、自分がアーサーに銃を渡したことが発覚することを恐れて口裏合わせにアパートを尋ねたが、保身に走る同僚に嫌気が差してハサミで殺害。

 6人目はテレビ司会者。アーサーをテレビ番組に招いたが、アーサーは司会者に障害を笑い者にされていることに気づいていた。そして証券マンを殺害したことを告白し、世の中の不条理さを発する。すると司会者が諭すように反論してきたので、銃で殺害。その様子は生中継されており、街が大混乱。アーサーはダークヒーローとなるも、捕まって閉鎖病棟で笑いながら過ごすという結末。

 

 危ない映画であった。よくJOKERと比較されるタクシードライバーと似た感じだが、それでいうとトラビスを演じていたデニーロが今回は子利口なテレビ司会者の役であるということに笑える。

 何よりも覚悟を決めてテレビ局に向かうアーサーが格好良すぎた。

 テレビに出るきっかけになる小さなバーの舞台で声を詰まらせながら、笑いの症状が止まらなくなる中、コメディーをしようと苦しむアーサーはかつてのR-1の舞台で震えながら言葉の出ない私そのものを見ているようで苦しくなった。