合同説明会

スーツを後何回着れば内定を掴むことができるだろうか。
行く途中に昼食。場所は孤独な男の聖地、松屋。中国人と思しき店員により運ばれた肉と飯をしゃあしゃあとかきこむ。
会場へ到着。入り口にて「帰りにアンケートの記入お願いします!!」と主催社の社員らしき男がいちいち一人ひとりに声を掛けている。これが仕事というやつか。入り口から仕事というものが何かと考えさせられる。
中に入る。広い……。係りの者から出展企業が書かれた用紙やアンケート用紙が書かれたもの、訪問カードを手渡される。
訪問カードというものに学校名、名前、住所などを記入する。これは企業を回る際に渡さなければいけないカードとなるわけだ。書いている間、同じ大学の奴が何かを喋っていたのを漏れ聞いていた。「JR行きたいけど運転は嫌だ」、「小売も嫌だ、バイト先がうんぬんかんぬん…」と。。
企業ブースへ。
既に開始から一、二時間が経過している正午前、色めきたった就活者が意気揚々とブースの椅子に座っている。どこのブースも飽和しきってまるで隙がない。椅子取りゲームは始まっているのだ。
仕方なく、時間待ち。某書店のブースを後ろから待つことにする。二十分が経過しただろうか。その間、大学の同じゼミのジャージ君(このときばかりはスーツだった)が声を掛けてきた。「おはよう」と一言掛け合っただけだがそれで十分。
ようやく前の連中の説明が終わり、書店ブースの椅子を確保することに成功。一番前の席に座る。十数人が椅子に座り、説明がスタートする。
書店の説明はいけしゃあしゃあと行われた。書店業務、レンタル業務についてを永延と聞く。大型店舗の店長によるバイトの扱い方、店舗業務、店舗運営、マネジメントといった仕事について、社会で働くにはアホになることが必要などなど。確かに説明のおっさん、やれやれするような冗談をしきりに飛ばしていた。。大体、おっさんは俺の眼前で喋りすぎだ。おっさんの至近距離過ぎて虚ろになった。
書店のブースを立ち去る。うろうろしていると不審に思われるんじゃないかと思い出し、空いてるブースを必死に探すがない。仕方なく筆記コーナーで休息。
立ち上がり、また空いている企業ブースを探す。すると印刷会社が空いている!これはチャンスとブースを近づく。その時、背筋の寒くなるような気配が。「君、こっちこないか!」。中年めいた男に声を掛けられる。中年の誘いに情けを掛ける格好でおめおめと付いていってしまった。あと一歩か二歩で印刷会社のブースに辿り着くっていうときに抱きつかれたっ!鉄工所の中年に!
気づいたら、永延と鉄工所の話を聞かされ、挙句の果てには来週の説明会に参加することに。
解放されてようやく印刷会社ブースへ。営業、得意先などの説明を聞く。ここの説明者の女性、まるで声が小さい!スズメの涙ほどの声量で寝そうであった。去る。
会場にやってきてから三時間ほどが経過し、会場内が煮詰まりつつあった。正午頃の飽和した状態も止む。そしてこれからが本番だと自分、疑念疑惑の企業ブースへまた突入する。
ドラッグストア。ここは元気な若者社員が説明。プライベートブランドを重視するだの聞かされる。例の冷凍餃子を販売していたことを話していた。
大手鉄道会社。ここは運転歴もある男が説明。
いろいろ周り、日が沈むかという時間帯、会場内も自分自身にも弛緩した気配が発散される。そして最後の訪問に相応しい会社、テレビ局のブースに向かう。
地方のテレビ局だが、ここはいつ来ても異常なまでの人数がブースを囲っており、終盤まで残しておいたのだ。単純にテレビ業界の話が聞きたいという理由で行った。
本日6社目、地元テレビ局。また一番前に座ってしまった。異常なまでの至近距離。対人恐怖なのか、うつむいてメモるといった敗北の態度しか取れない。しかも隣の奴が質問しまくり。説明は採用傾向とか業務内容などシンプルな説明、試験は全員キャメラテストするだのいうこと。質問コーナーが中心。制作の社員が永延と学生の質問に答える。俺、真ん前で質問ゼロ。気まずい。放送業界全然興味ねえ。
17時。終了する。アンケートを書き、会場を立ち去ると小ぶりの雨が。
帰り道、運転しててカーラジオから聴こえてくるイルカさんの曲が時間帯とマッチしていて感極まる。「なごり雪」「海岸通」「サラダの国から来た娘」「Follow Me」どれも染みる。

・本日の戦利品
ボールペン(書店)
栄養ドリンク(ドラッグストア)
携帯栄養食品 2本(主催社)
ボールペン(主催社)