虚栄心もないその日

夕暮れ時、母校の高校の前を通ると帰宅めいた動きをしている多くの高校生を見かけた。この時期、一、二年のときに一日中模試をやらされていたことを思い出した。今も恒例なのだろう。


5年前のあの日、二時限からだったと思うが確かにセンター試験会場には行っていた。
学年が落第かどうかも分からない状態で、胃腸神経症もある中、全く目的もなく、
記念という感覚で出願した程度だった(何の記念なのかが未だに答えが見つからず、つまりこれは記念ですらない無為なものだったのですが、当時の自分の中では“何かの”記念という感覚だったのです)。それでも学生服を着たニキビ面は会場に行った。努力の美しさがまったく描かれていない頭脳で、何をしでかそうというわけでもなく、おそるおそる行ったわけである。
角ばった雰囲気を醸し出す学生服を着た人、人、人。国立大学の試験会場は疲れるような緊迫さがあり、カロリーメイトをかじりながら自分の三年間の不甲斐なさを痛感した。