何もやりたくない党

 夕方、ジョージと待ち合わせをした駅に行くと、北○アイドルフェスティバル(H○F)なるものが催されていた。変装したジョージがそれを凝視しているので声を掛ける。
 「なにやってるんですか」「ここもアキバとおんなじノリだねえ」などと会話しようとするも、大半はアイドルや追っかけの声量がでかすぎて会話ができない。数十人の前で「RED-POINT」というアイドルグループが曲を披露して、それにヲタクが順応すると言う図式。最前列でカメラを下から撮ってる野郎は何を撮っているのだろうか。


 なにはともあれ、アイドルだろうがヲタクだろうが昇華できる機会があるというのは心底羨ましく、良いことだと思う。何と無くで見ても躍動感があってよかった。いいものを観たと思う。
 その場を離れ、もう一人待ち合わせている○○県の○△党の総支部長なる人がやってくる。ジョージの元弟子、会うのは二回目である。近くのビアガーデンへ行く。ガバメントのお話しが大半。街頭演舌のうまいやり方談義など。私は聴いても仕方ないのだが。まるで坂口安吾太宰治織田作之助の座談会にズボラな素人が割って入ったみたいな気分。
 ○△党の低調さもあってか、話していることは幕末のサムライのようなじりじりと憔悴し、覚悟を決めたかのようなことばかりである。それをただただ聴いているだけ。
 その後、二次会も行き、お釜バーのカラオケで演説の練習を強制される。「私は何もやりたくない!何もやりたくない党でございます!」
 出る。雨に打たれて薄着の女性を凝視しつつ帰る。私は何をやっているのだろうか。