「宿題」

 テレビ画面の中では、お笑い芸人がアイドルを蹴って投げ、女芸人が床に落ちた生卵を啜っては戻し、啜っていた。そうした素っ頓狂な芸人たちの所作の度に、カメラの後ろにいるとされるスタッフのふざけた笑い声がひっきりなしに響く。CMに入ると、いきいきとした若者がウォータースライダーに乗りながらはしゃぐレジャー施設の十五秒がまた今年も垂れ流れている。そうして、また今年も晩春から初夏に掛けた美しい季節を黙殺した後悔の念に囚われる。

 会社用電話を渡されている休日、着信も多少想定しながら部屋で夏休みの計画を立てていた。東北では今日も地震があったようだが、盆明けの憂鬱を計算すると、どうしても東北に行かねばならぬ、という概念に囚われている。「あの時東北に行っておけば」と未練を持ちながら実りの秋をあくせく過ごす自分を作ってはならないと強く思っているのだ。
 さて今週は『宿題』というテーマであるが、思春期を殺してしまつた私は、「宿題」というフレーズに厭ったらしさしか感じることができやしませんので、何も申し上げることはございません。もしも学生時代に戻ったらどうするか、宿題をするであろうし、部活をして体を動かすことも、交友関係も充実させる必要があるし、様々な建設的な所作を常に心がけることが必要であると強く思いながらも、私はまた怠惰な安堵をもたらすテレビやネットを見続けて思春期を殺すであろう。そうしてまた蒼ざめた不健全な肉体の持ち主として、ぶざまな、胃弱体質、感傷家、半狂人、などといった日記を書くのだろう。


 そう考えながら東北に行く前のジョージとの夏休みの計画を立てていた。国○議員の元○書…N田町で数年下積みをして過ごして何度か出馬もしていたようだが、今では落ちぶれて年収も私より低い素寒貧のオヤジだ。現時点で金を三万も貸している。理由は不明だがなぜか他人(財界人…政治家…)に送るメールも私に転送してくる。ともかく内容をチェックし、この砂を噛む様な日常を変える「何か」がないかを探している。
 成功への風穴が欲しい…! 傲慢な選挙落選者とまだ芽の出ない若造…、なんかあるでしょ